最近、メモリ関連がけっこう下がってるよね。
キオクシアだけじゃなくて、マイクロン、サンディスク、SKハイニックス、サムスン電子まで弱い。
これだけ一緒に下がると、
「メモリ需要、もうピークなの?」
「AIブームもそろそろ終わり?」
「何か知らない悪材料が出た?」
って、ちょっと気にならない?
私も気になったから、メモリ価格や在庫、設備投資まで見てみた。
で、先に答えを言うと、メモリの中身はまだ悪くなってない。
価格は上がってる。在庫も余ってない。AI大手も投資を減らしてない。
じゃあ、なんで株だけ下がってるのか。
たぶん今の市場は、「もう業績が悪い」と言ってるんじゃなくて、良すぎる状態も、そろそろピークなんじゃない?と先回りしてる。
メモリ価格はまだ下がっていない
まず見たのは、実際のメモリ価格。
TrendForceによると、2026年4~6月期の契約価格は、
- 一般的なDRAMが前の四半期より58~63%上昇
- NANDフラッシュが70~75%上昇
という予想だった。TrendForce
58%とか70%って、普通の値上がりじゃないよね。
かなり激しい。
AIサーバー向けのHBMやサーバーDRAM、企業向けSSDが売れるから、メーカーもそっちを優先して作る。
すると、一般向けのDRAMやNANDに回る生産能力が減る。
品物が足りないから、価格が上がる。
流れはこんな感じ。
AIサーバー向けメモリが売れる
↓
メーカーが高利益の製品を優先する
↓
一般向けメモリの供給が減る
↓
DRAM・NAND価格が上がる
7月14日に更新されたDRAMeXchangeを見ても、DDR5のスポット価格はまだ高いところにいる。DRAMeXchange
だから今は、株価は下がってるけど、メモリ価格は下がってない。
ここを一緒にしないほうがいい。
ただ、上がり方は鈍くなりそう
メモリ価格は、まだ上がってる。
でも市場が気にしてるのは、価格の高さよりも勢いなんだよね。
2026年7~9月期は、
- 一般的なDRAMが前四半期比13~18%上昇
- NANDフラッシュが10~15%上昇
と見込まれている。Tom’s Hardware
まだ上がる予想なのに、それでも株は売られる。
なんで?と思うよね。
前の四半期は50~70%台も上がっていた。それが10%台まで落ち着くなら、値上がり自体は続いても、伸びるスピードはかなり遅くなる。
株って、ここが面倒なんだよね。
「悪くなったから売る」だけじゃない。「まだ良いけど、前ほど良くならないから売る」もある。
すでに株価が何倍にも上がっていると、「好調が続く」だけじゃ物足りない。
毎回、前回を超えるような数字を求められる。
ちょっと無茶な話なんだけど、期待が膨らみすぎた相場ではよくある。
会社は今もめちゃくちゃ稼いでる
業績も見てみたけど、悪くない。むしろ強すぎる。
マイクロンの2026年度第3四半期は過去最高業績。
クラウドメモリ部門の粗利益率は83%、データセンター部門は87%だった。マイクロン決算
売上から製造コストを引いた利益率が80%を超えてる。
かなり異常な水準だよね。
SKハイニックスも、2026年1~3月期の営業利益率が72%。
HBMだけじゃなく、高容量のサーバーDRAMや企業向けSSDも売れている。SKハイニックス
サムスン電子も、2026年4~6月期の営業利益を約89.4兆ウォンとする速報値を出した。サムスン電子
これだけ見ると、メモリ不況どころじゃない。
会社は今、めちゃくちゃ稼いでる。
でも株価は下がる。
たぶん市場からすると、「今すごく稼いでるのは知ってる。それ、来年も続くの?」って話なんだと思う。
在庫も、今のところ余ってない
メモリ株で怖いのは在庫。
儲かるからと各社が一斉に増産すると、そのうち製品が余る。
余り始めると、値下げ競争になる。
増産する
↓
在庫が増える
↓
メモリ価格が下がる
↓
利益が減る
↓
株価も下がる
メモリ業界では、これを何度も繰り返してきた。
じゃあ今、すでに在庫が増えてるのか。
マイクロンの2026年度第3四半期末の在庫日数は120日。ただ、会社はDRAM在庫について「かなり引き締まっている」と話している。マイクロン決算説明
TrendForceも、DRAMメーカーの在庫はかなり低いと見ている。TrendForce
だから、売れないメモリが倉庫に積み上がってる感じではない。
少なくとも今の下落を見て、「もう供給過剰が始まった」と決めるのは早い。
AI大手も、まだ投資を止めてない
次に見たのは、Microsoft、Google、Amazonの設備投資。
ここが止まったら、さすがにメモリも厳しくなる。
でも、まだ止まってない。
Microsoftは、2026年に約1,900億ドルの設備投資を見込んでいる。しかも、需要が供給を上回る状態は2026年中も続くと話している。Microsoft
Googleの親会社Alphabetも、2026年に1,750億~1,850億ドルを投じる計画。Alphabet
AmazonもAI投資を増やしている。過去12カ月の設備取得額は前年より約593億ドル増えていて、その主な理由がAI関連だった。Amazon
今見えてる数字は、こんな感じ。
メモリ価格 → まだ上がってる
在庫 → 余ってない
メモリ会社の業績 → かなり強い
AI設備投資 → まだ増えてる
これで「AI需要が消えたからメモリ株が下がった」は、ちょっと無理がある。
じゃあ、何を嫌がってるの?
一つ目は、単純に上がりすぎ。
SKハイニックス、マイクロン、サンディスク、キオクシアは、かなりの勢いで上がってきた。
短期間で大きく上がれば、「そろそろ売って利益を確定しよう」という人も増える。
株は悪材料が出なくても下がる。
十分に儲かった人が売るだけでも下がる。
そこに信用取引やレバレッジの損切りが重なると、下げが一気に大きくなる。
二つ目は、好材料の出尽くし。
サムスン電子もTSMCも数字は良かった。それでも株価は上がらなかった。
みんなが良い決算を期待して先に買っていたから、実際に良い数字が出ても「うん、知ってた」で終わってしまった。
期待どおりでは、新しく買う理由にならない。
そして決算発表が、先に買っていた人の売り場になる。
好決算なのに下がると不思議だけど、株ではよくあるんだよね。
三つ目は、2027年の供給。
今はメモリが足りない。
でも、これだけ儲かるなら、各社とも生産を増やしたくなる。
マイクロンの設備投資額は、2026年度第2四半期の50億ドルから、第3四半期には71億ドルへ増えた。
サムスン電子もHBM4の生産能力を増やしている。サムスン電子
今すぐ余るわけじゃない。
ただ、来年以降に増産分が出てきたとき、AI需要が今の勢いを保てるのかというところを気にし始めてる。
キオクシアなら、NANDを見たい
メモリ株といっても、全部同じじゃない。
SKハイニックスやマイクロンは、HBMやDRAMの影響が大きい。
キオクシアとサンディスクは、NANDの影響が大きい。
だからキオクシアを見るなら、HBMのニュースだけ追っても足りない。
私なら、
- NAND価格
- 企業向けSSDの注文
- NANDの出荷量
- スマホやPCの需要
- 各社のNAND増産
- キオクシアの設備投資
このあたりを見る。
キオクシアの次の決算は7月31日の予定。キオクシアIR
利益がいくらだったかも大事だけど、NAND価格と出荷量を会社がどう見てるか。私はそこが一番気になる。
私は今、こう見てる
今回の下落を、私はまだメモリ不況の始まりとは見てない。
今の数字なら、
業績が悪くなって売られてるんじゃない。期待が高くなりすぎて、いったん株価が冷やされてる。
たぶん、こっちのほうが近い。
ただ、「業績が良いから株価もすぐ戻る」とも思ってない。
市況株って、利益が最高のときに株価が下がり始めることがあるから。
今稼いでるかより、来年もっと稼げるか。
株価はそっちを先に見てる。
この先、
- DRAMやNAND価格が下がり始める
- メーカー在庫が増える
- AI大手が設備投資を減らす
- HBMや企業向けSSDの注文が弱くなる
- 増産したメモリが余り始める
こういう数字が出てきたら、ちょっと話が変わる。
でも今は、まだそこまで来てない。
チャートが真っ赤だと、全部終わったような気分になるよね。
だけど、値動きと事業の中身は同じじゃない。
だから私は今、何%下がったかよりも、価格・在庫・設備投資のどこが最初に変わるかを見てる。
赤いチャートだけ見ていても、メモリの先行きは分からない。
こういうときは少し画面から離れて、その会社が売っているものを見にいく。
今のメモリ株は、たぶんそういう場面だと思う。
※本記事は特定銘柄の購入推奨ではありません。紹介したデータや戦略は一つの強力な指標として参考にし、投資判断はご自身のリスク許容度に応じて行ってください。
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今回の記事では、DRAM・NAND価格、メーカー在庫、AI大手の設備投資を確認しながら、メモリ需要が本当に崩れているのかを見てきました。
ただ、株価は業績だけで動くわけではありません。
業績が良くても、期待値が高すぎたり、短期資金やレバレッジ資金の巻き戻しが重なったりすると、株価は大きく下がることがあります。
好決算でも売られる理由や、モメンタム相場の巻き戻しについてはこちらで整理しています。
関連記事:
業績が良いのに株価が下がる理由|モメンタム相場と期待値の巻き戻し
今回のような半導体株の下落については、キオクシアやSOX、TOPIXの動きから見た記事もあります。
半導体需要が終わったというより、期待値と需給の調整ではないか、という視点で整理しています。
株価は業績だけではなく、金利、ニュース、心理、需給でも動きます。
株価がなぜ動くのかを基礎から整理したい方はこちらもどうぞ。
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【第2回】株価はなぜ動く?4つの要因でシンプルに解説
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