小話「口紅が不況を告げる LVMHと景気の関係」

投資哲学・メンタルラウンジ

景気が悪くなると、なぜか口紅が売れる。

エスティローダーの会長が提唱した「口紅指数」という有名な話です。不景気なのだから節約するはずなのに、なぜ口紅なのか。

理由は意外と単純です。

人は贅沢そのものをやめるのではなく、贅沢のサイズを変えるからです。

車は買えない。高級バッグも我慢。海外旅行も難しい。でも「せめてこのくらいは」と思って少し良い化粧品や香水を買う。景気が悪くなると、人間の欲望が消えるのではなく、手が届く範囲へ移動するのです。

私はこれを勝手に「欲望のスイッチング」と呼んでいます。

景気が良い時景気が悪い時
高級車化粧品
高級時計香水
海外旅行少し良い外食
高級バッグスイーツ
別荘近場の旅行

投資家から見ると、この話は意外と面白い。なぜなら景気を測る指標はGDPや失業率だけではないからです。

例えばLVMH。多くの人はルイ・ヴィトンのバッグを思い浮かべますが、実際には香水、化粧品、シャンパン、宝飾品など幅広い事業を持っています。

だから決算を見る時もバッグの売上だけを見ていては少しもったいない。もしバッグが伸び悩んでいても化粧品や香水が好調なら、人々は贅沢を諦めたのではなく、贅沢の形を変えただけかもしれません。逆に香水や化粧品まで落ち始めたら、「せめてこのくらいは」という支出すら削り始めた可能性があります。

ただ、私は最近少し違うことも感じています。口紅指数が生まれた時代と違い、今はSNSの時代です。ブランド品そのものより、旅行やライブ、高級ホテル、少し良いレストランなど「体験」にお金が流れているように見える。

昔の小さな贅沢今の小さな贅沢
口紅カフェ
香水ライブ
化粧品旅行
ブランド小物高級ホテル
宝飾品外食

もしかすると現代では「口紅指数」よりも「体験指数」の方が消費者心理を映しているのかもしれません。

投資家は決算書の数字を見ます。しかし数字の向こう側にいるのは人間です。そして人間は不景気になったからといって無欲になるわけではありません。欲望の置き場所を変えるだけです。

そう考えると、口紅一本の売上にも景気のヒントが隠れているのかもしれません。


※本記事は特定銘柄の購入推奨ではありません。紹介したデータや戦略は一つの強力な指標として参考にし、投資判断はご自身のリスク許容度に応じて行ってください。

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比較が終わらない時代だからこそ、「自分の欲望」とどう付き合うかが重要になります。

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