見送った株に限って、めちゃくちゃ上がる
買おうかな、どうしようかなと迷って、いったん見送る。すると翌日から上がる。しかも、自分が見送ったのを確認してから上げてるの?ってくらい上がる。
10%くらいならまだ眺めていられる。でも20%、30%と上がってくると「今からでも買う?」「いや、もう遅い?」で頭がいっぱいにならない?
持っていないから口座は1円も減っていないのに、気分だけはしっかり損している。
正直、買い逃しはなくせない。全部の上昇を取るなんて無理だから。でも買い逃した後の動きは変えられる。焦って飛び乗るのか、昔の安値に縛られてずっと買えなくなるのか。それとも今の値段でもう一度考え直すのか。話したいのはこの違い。
買ってないのに「500円損した」ことになってない?
1,000円で迷って買わなかった株が1,500円になったとする。すると頭の中では「500円取れたはずなのに」と勝手に計算が始まる。
いや、買ってないからね。利益も出ていないけど、損もしていない。でも気持ちの中では、なぜかマイナス500円を背負っている。人の頭って不思議だなと思う。
| 項目 | 実際はどうか | 頭の中ではどうなりやすいか |
|---|---|---|
| 買った価格 | 買っていない | 1,000円で買った扱い |
| 今の価格 | 1,500円 | 1,500円 |
| 損益 | 0円 | 500円を損した気分 |
| 次の注文 | 新しい売買 | 500円を取り返す売買 |
この状態で買うと、会社を買っているようで、実は後悔を消しにいっていることがある。本当は1,500円から先にどれくらい上がりそうで、下がるならどこまでありそうかを見る場面。それが「1,000円で買わなかった自分を正したい」に変わる。
前に1,000円だったことは、これから上がる理由にはならない。ちょっと冷たい言い方だけど、相場は見送った分を返してくれないんだよね。1,500円で買うなら、1,500円から先の話だけで決めるしかない。
焦って買うのも、ずっと買えないのも同じところから始まる
買い逃した後の行動は、だいたい二つに割れる。
一つは「もっと上がったら耐えられない」と飛び乗る。もう一つは「あの時は1,000円だったのに、1,500円では買えない」とずっと見送る。
真逆に見えるけど、どっちも1,000円に縛られている。今の会社がどうなっているかより、昔いくらだったかを見ているんだよね。
| 買い逃した後の動き | 頭の中で言っていること | 抜けやすい確認 |
|---|---|---|
| 勢いで買う | もう置いていかれたくない | 上値、下値、買う金額 |
| 高いから買わない | 前はもっと安かった | 業績や見通しの変化 |
| 元の値段まで待つ | 1,000円なら買える | 1,000円へ戻る理由 |
| 見るのをやめる | 上がると悔しい | 後から出た新しい材料 |
心理学では「不作為慣性」と呼ばれるものがある。名前は難しいけど、話はシンプル。最初のすごく良い機会を逃すと、次に来た悪くない機会まで見送ってしまう心理だ。
1995年のTykocinskiらの研究では、最初と次の機会の差が大きいほど、二度目も選びにくくなる傾向が出ている。株価を予測した研究ではなく、買い物などの意思決定を調べたものなので、そのまま投資の答えにはできない。でも「前はもっと安かった」が強すぎると、今の条件まで悪く見えるという話なら分かる気がしない?
「上がってる」と「今すぐ買わなきゃ」は別の話
FOMOという言葉もある。Fear of Missing Out、つまり置いていかれる怖さ。株価が上がるほど、自分以外はもう乗っていて、自分だけホームに残された感じになる。
そんな時って「何が変わったんだろう」と調べる前に、注文画面を開きたくなる。買ってから調べればいいか、となりやすい。でも、その順番はやっぱり怖い。
米国SECの投資家向けサイトやFINRAも、話題になっている投資先をFOMOだけで買わず、調べたうえで自分の長期計画に合うかを見るよう注意を出している。「今しかない」「全員買ってる」「次は何倍」みたいな言葉まで出てきたら、銘柄だけじゃなく、その話をしている人も見た方がいい。急がせる言葉は詐欺でも使われるから。
もちろん、上がった株は全部ダメなんて話ではない。好決算が出た、新商品が当たった、大きな受注が入った。会社の中身が前より良くなったなら、株価が高くなっていても買えることはある。
上がったから調べるのは全然いい。でも、上がったからすぐ買うは別。調査のスピードを上げても、注文まで同じ速さにしなくていい。
買い逃した後の頭の中は、だいたいこうなる
買おうか迷って見送る
↓
株価が上がる
↓
「取れたはずの利益」を勝手に計算
↓
焦って飛び乗る&もう高いと見送り続ける
↓
どちらも昔の値段が基準
↓
昔の値段はいったん横へ置く
↓
今の材料・今の価格・下値で考え直す
昔の値段を忘れろという話ではないよ。急騰の前後で何が変わったかを見る材料には使える。でも「前より高いから買う」「前より高いから買わない」の答えにはならない。
じゃあ何を見る? 私なら三つに分ける
上がった理由を「事業」「期待」「需給」に分ける。きれいに一つへ決めなくていい。実際は三つが混ざって動くことも多いから。
| 分け方 | たとえば何があったか | 何を見にいくか |
|---|---|---|
| 事業 | 売上、利益率、受注が伸びた | 決算、説明資料、適時開示 |
| 期待 | 次の業績やテーマへの期待が上がった | 会社見通し、市場予想、株価指標 |
| 需給 | 出来高、踏み上げ、指数採用で資金が入った | 出来高、信用残、売買動向 |
会社が前より稼げるようになったなら、1,000円の時と1,500円の今をそのまま比べられないことがある。中身まで良くなっているなら「前より高いからダメ」では雑すぎる。
反対に、業績は何も変わっていないのに短期のお金だけで上がっているなら、急いで追う理由は弱い。チャートが上を向いていることと、会社の価値が上がったことは同じじゃないからね。
分からなければ、分からないでいい。無理に今日中に答えを出すより、「需給は分からない」「次の見通しはまだ出ていない」と空欄を残した方がマシ。空欄のまま大きく買う方が怖い。
メモはこの7個だけでいい
買い逃した株を見直すなら、私はこの7個を書く。買う理由を作るためじゃなくて、昔の値段から頭を離すためのメモ。
| 質問 | 自分の記入欄 |
|---|---|
| 今日初めて見た株でも、今の値段で調べたいと思う? | |
| 見送った日から、会社の中身は何が変わった? | |
| 今から上がると思う理由を数字で書ける? | |
| 自分の想定が外れたと分かる材料は何? | |
| 20%下がっても生活を崩さない金額はいくら? | |
| 次の決算や発表はいつ? | |
| 今日買わないとダメな理由、本当にある? |
一つ目で「前は安かったのに」しか出ないなら、まだ昔の価格を見ている。二つ目と三つ目が書けないなら、上がった勢いを理由にしているかもしれない。
最後の「今日じゃないとダメ?」も使いやすい。上場株なら明日も売買できる。明日さらに上がるかもしれないけど、下がるかもしれない。分からないのに、今日だけは買うべきだと言える理由は何だろう。答えがなければ、いったん注文画面を閉じていい。
「とりあえず少し買う」はアリ?
迷うなら少しだけ買う。これは選択肢としてはある。持っている方が決算をちゃんと読む人もいるし、一度に大きく買うより下がった時の金額も小さくできる。
でも、少額購入が後悔を消すための参加費になっていないかは見たい。「買っておけばよかった」が嫌だから100株だけ。さらに上がったから100株追加。気づいたら予定より大きい。こうなると最初の少額はリスク管理ではなく、買い増しの入口だったことになる。
少し買うなら、最終的にいくらまで持つか、何が出たら追加するか、何が崩れたらやめるかを先に決める。「少額だからまあいいか」で銘柄を増やすと、口座が自分でも説明できない株だらけになるんだよね。
待つなら「1,000円まで」じゃなく「決算まで」
買わずに待つのも全然アリ。材料の中身が分からない、値動きが荒すぎる、下がった時に持ち続けられそうにない。そんな時は、見送る方が自分に合っている。
でも待つ条件を「1,000円へ戻ったら」だけにするのは少し弱い。なぜ1,000円なのかと聞かれたら、自分が前に見た値段だから、で終わってしまう。
次の決算で利益率を見る。急騰後の出来高が落ち着くまで待つ。会社が新しい見通しを出したら調べ直す。こんなふうに日付や材料で区切った方が、ただ安値を待つより次の判断につながる。
そのまま上がって買えなくなることもある。まあ、ある。悔しいけどある。でも自分が取れるリスクと、その時に知っていた情報では買えなかったなら、それだけで失敗とは言えない。全部取ろうとすると、次の銘柄で無理をすることになる。
反省するなら「何円儲け損ねた」はいらない
買わなかった株が上がると「100株買っていれば5万円だった」と計算したくなる。計算は一瞬でできるし、しっかり傷つく。でも次の投資にはあまり役立たない。
見るなら、見送った日に何を知っていたか。その後に何が出たか。この二つを分ける。
見送った時点で業績改善も上方修正も知っていたのに、なんとなく決められなかったなら、調べ方や注文ルールを直せる。でも見送った後に大型受注が出たなら、先に当てられなかった自分を責めても仕方ない。未来のニュースまで知っていた前提で反省したら、何をしても失敗になる。
メモは「その時に分かっていたこと」「後から出たこと」「次に同じ場面が来たらどうする」の三行でいい。自分を責める反省会じゃなくて、次回の動きを少しラクにするメモにしよう。
まとめ:昔の安値を買いに戻ることはできない
買い逃した株が上がると、持っていないのに損した気分になる。その気分のまま動くと、焦って買うか、昔の安値にこだわってずっと買えなくなる。
でも今から買えるのは、昔の1,000円じゃない。今日の1,500円だけ。だったら今日の会社、今日の材料、今日の下値で考えるしかないんだよね。
調べ直して買わないなら、それでいい。買うなら「あの時買えなかったから」ではなく、今の値段からでも持てると思ったから買う。買い逃した後に取り戻したいのは利益じゃなくて、自分の判断のペース。それくらいの距離で相場を見た方が、たぶん長く続けやすい。
※本記事は特定銘柄の購入推奨ではありません。紹介したデータや戦略は一つの強力な指標として参考にし、投資判断はご自身のリスク許容度に応じて行ってください。
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焦っている時ほど、注文画面を開く前に少し時間を置くことも大事です。
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