【第20回】SNSで焦る理由と、投資で大切にしたい考え方

初心者向け講座

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2026.08.26

スマホを開くと、「1か月で資産が100万円増えた」「この銘柄で2倍になった」といった投資報告が流れてきます。

自分は毎月コツコツ積み立てているのに、他の人は短期間で大きく増やしている。それを見ると、「自分の投資は遅すぎるのかな」「もっとリスクを取らないとダメなのかな」と焦ることがあります。

頭では人と比べても仕方ないと分かっているんです。それでも利益の大きな数字を見ると、今まで続けてきた方法が急に物足りなく見えてしまうんですよね。

SNSを見ること自体が悪いわけではありません。気をつけたいのは、他人の結果だけを見て、自分の投資まで急に変えてしまうことです。

1.SNSに映るのは、その人の一部分だけ

SNSで目立ちやすいのは、驚きのある投稿です。

「今月も予定通り3万円積み立てました」という報告より、「1日で100万円増えました」という報告の方が目に止まります。反応が多ければ、似た投稿も表示されやすくなります。

その結果、SNSを眺めているだけなのに、周りの人が全員大儲けしているように感じることがあります。

でも、画面に表示された利益額だけでは、投資の全体像までは分かりません。

SNSで見えるもの画面からは分からないもの
今回の利益過去の損失
増えた金額投資した元金
上がった銘柄同時に下がった保有銘柄
一番うまくいった場面普段の運用成績
利益のスクリーンショットその人が取っていたリスク

100万円の利益でも、元金が500万円なのか、5,000万円なのかで意味は変わります。現物投資なのか、信用取引やレバレッジ商品なのかでも危険度は違います。

投稿が嘘だと決めつける必要はありません。ただ、その数字だけで自分と比べるには、分からないことが多すぎるんですよね。

2.「自分より上の人」ばかり見てしまう

人は、自分より成功しているように見える相手と比べることがあります。これを「上方比較」と呼びます。

上方比較が刺激になり、「自分も頑張ろう」と思える場合もあります。ただ、比べる回数が増えると、自分の状況を必要以上に悪く感じることもあります。

SNSの利用と上方比較を調べた研究でも、他人との比較が自尊感情や幸福感の低下と関係することが示されています。ただし、SNSを使えば誰でも悪影響を受けるという話ではなく、使い方や人によって違いがあります。Looking Up and Feeling Down

投資では、この比較が少し厄介です。

自分の資産が先月より増えていても、誰かがそれ以上に増やしていると負けた気がする。計画通り運用できていても、短期間で何倍にもした人を見ると、自分だけ止まっているように感じます。

他人の大きな利益を見る
          ↓
自分の運用が遅く感じる
          ↓
今までの投資方法を疑う
          ↓
早く追いつきたくなる
          ↓
予定になかった商品を買う

自分の資産が減ったわけではないのに、比較しただけで「遅れを取り戻さなきゃ」という気持ちが生まれてしまうんです。

3.焦ると、他人の投資をそのまま借りたくなる

たとえば、毎月3万円のインデックス積立を続けていた人が、SNSでテーマ株の大きな利益報告を見たとします。

最初は「すごいな」と眺めているだけでも、同じ銘柄の投稿を何度も見るうちに気持ちが変わります。「今からでも間に合う」「次はさらに上がる」という言葉を見て、積立用に残していたお金まで入れたくなるかもしれません。

ところが、その人がいつ、いくらで買ったのかは分かりません。投稿した時点ですでに一部を売っている可能性もあります。

後から買った人だけが高値に残されることもありますが、SNSで知った銘柄が必ず天井というわけでもありません。問題は、値上がりするかどうかではなく、自分で中身を確認しないまま他人の判断へ乗ってしまうことです。

米国SECも、SNSの情報だけで投資判断をせず、発信者や投資内容を自分で確認するよう注意を呼びかけています。高い利益を低リスクで得られるという勧誘や、著名人になりすましたアカウントにも注意が必要です。

4.利益額ではなく、条件をそろえて見る

他人の運用成績を参考にするなら、利益額だけではなく条件も確認した方がいいです。

確認したいこと見るポイント
元金いくら投資して得た利益なのか
期間1日、1年、10年のどれなのか
損益の種類含み益か、売却済みの利益か
入金額運用益ではなく入金で増えていないか
リスク信用取引やレバレッジを使っていないか
全体成績一つの成功銘柄だけを載せていないか

たとえば、5,000万円を運用して100万円増えた場合、リターンは2%です。100万円という金額だけを見ると大きく感じますが、自分の運用と比べるなら割合や期間までそろえないと意味がありません。

それでも、家庭環境や年齢、収入、使う予定のあるお金まで同じにはできません。条件をそろえても、最後は別の人の投資なんですよね。

5.自分の投資が急にダメになったわけではない

SNSを見る前まで納得していた投資方法が、投稿を見た瞬間に悪い方法へ変わるわけではありません。

毎月の積立額も、保有商品の中身も、投資の目的も変わっていないのに、他人の利益を知っただけで物足りなく感じているなら、投資内容より比較の仕方に問題があるのかもしれません。

私は、他人の爆益を見て少しうらやましくなること自体は仕方ないと思っています。大きく増えた数字を見れば、「自分もそれくらい増えたらな」と思いますよね。

ただ、うらやましい気持ちと、その商品を買う判断は分けています。「欲しくなった」だけでは、自分のお金を入れる理由にならないからです。

6.自分用の成績表を作っておく

SNSに振り回されにくくするには、他人の利益額ではなく、自分が決めた項目で投資を確認します。

他人との比較
「誰が一番増えたか」
        ↓
自分との比較
「計画通り続けられたか」

初心者なら、次のような項目で十分です。

自分の確認項目今月の結果
決めた金額を積み立てられた
生活防衛資金を残せた
よく分からない商品を買わなかった
急騰銘柄を慌てて追わなかった
生活を苦しくせず続けられた

相場が下がった月は、資産額だけで採点するとマイナスになります。それでも、計画通り積み立てて生活も守れたなら、資産形成としては悪い月ではありません。

反対に、資産が大きく増えていても、予定外の信用取引で取った利益なら、自分のルールとしては見直す必要があります。

7.SNSを見て買いたくなったときのルール

SNSで知った銘柄を買ってはいけないわけではありません。新しい企業や商品を知るきっかけになることもあります。

ただし、投稿を見てから注文するまでに一段階入れた方が安全です。

① その日は買わない

気になった銘柄は保存するだけにして、少なくとも翌日まで注文しません。時間を置いても欲しいなら、そこから調べます。

② 投稿ではなく一次情報を見る

個別株なら決算資料や有価証券報告書、投資信託やETFなら運用会社の公式資料を確認します。誰が紹介しているかより、自分が中身を説明できるかを優先します。

③ 買ったあとに下がる場面まで考える

上がる話だけでなく、30%下がった場合も想像します。それでも持てる金額なのか、何が起きたら売るのかを先に考えておきます。

④ 本隊のお金をその場で動かさない

積立や生活防衛資金から急にお金を移すと、今までの計画まで崩れます。試したい場合でも、生活に影響しない小さな範囲へ分けた方がよさそうです。

8.ミュートは逃げではなく、情報の整理

特定のアカウントを見るたびに焦るなら、ミュートやフォロー解除を使って構いません。

SNSを完全にやめなくても、表示される情報を変えるだけで気持ちはかなり違います。投資アプリやSNSを見る時間を決める方法もあります。

私も、見たあとに投資方針を変えたくなる投稿は、情報として役立つかより、気持ちを乱す回数の方を気にします。毎回焦るだけなら、わざわざ見続けなくてもいいと思うんです。

他人の成績を見ないことは、現実から逃げることではありません。自分の判断に必要のない情報を減らしているだけです。

9.目標は金額だけでなく、使い道まで決める

「5,000万円欲しい」「いつか1億円を作りたい」という目標があってもいいと思います。

ただ、金額だけを目標にすると、SNSでそれ以上の資産を持つ人を見たときに終わりがなくなります。5,000万円を達成しても、次は1億円、その次は3億円を持つ人と比べることになるからです。

そこで、「そのお金で何を守りたいのか」まで考えておきます。

老後の生活費を補いたい。仕事を少し減らしたい。家族と出かける余裕を持ちたい。急な出費でも慌てないようにしたい。

使い道が決まると、他人より多く持つことではなく、自分に必要な金額へ目を戻しやすくなります。

まとめ:SNSを閉じても、自分の計画は遅れていない

SNSには、役立つ情報も面白い発信もあります。大きな利益報告も、本当に成功した結果かもしれません。

ただ、その人と自分では、元金も運用期間も取れるリスクも違います。見えていない損失や失敗まで含めなければ、公平な比較にはならないんですよね。

焦ったときは、「自分の投資に問題が見つかったのか、それとも他人の利益を見ただけなのか」を確認してみてください。

投資内容に問題があるなら見直せばいい。でも、他人が大きく儲けたことしか変化がないなら、急いで自分の計画を壊す必要はありません。

私は、SNSを見た直後に欲しくなった銘柄ほど、その日は買わないようにしています。翌日には欲しくなくなっていることも多いので、買わなかったというより、焦りが抜けるまで待てたという感じです。

他人のスクリーンショットに、自分の資産配分を決めてもらわなくていいんですよね。

第20回:チェックポイント

  • SNSに見えているのは、その人の運用の一部分
  • 利益額だけでなく、元金、期間、リスクも確認する
  • SNSで知った銘柄をその場で買わない
  • 投稿だけでなく、企業や運用会社の一次情報を見る
  • 他人の利益額ではなく、自分のルールで成績を確認する
  • 焦りが続くアカウントはミュートしてもよい
  • 資産目標は金額だけでなく、使い道まで決める

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