投資の本を読むと、
「長期で持とう」
「チャンスが来るまで待とう」
「余計な売買はしない方がいい」
だいたい、こんなことが書いてあります。
読んでいるときは「まあ、そうだよね」と思うんだけど、実際にやってみると待つのってかなり難しいんだよね。
買う予定じゃなかった株を、急に欲しくなる。
現金が残っていると、なんだかもったいない気がする。
持っている株が動かないと、もっと上がりそうな銘柄へ乗り換えたくなる。
そして売買したあとに、
「別に動かなくてもよかったかも……」となる。
これは、意志が弱いからとは限らないんだよね。
相場を見ていると、人は「何かした方が安心できる」という気持ちになりやすいからです。
今回は、この“待てない感じ”とどう付き合えばいいのか、一緒に考えてみよう。
1.人は「何もしない時間」がちょっと苦手
人には、じっとしているより何か行動したくなる傾向があります。
これを心理学では「アクション・バイアス」と呼ぶことがあります。
有名なのが、サッカーのPKを調べた研究です。
ゴールキーパーは左右へ飛ぶことが多いものの、研究対象となったPKでは、中央に残った方が止められる可能性が高いという結果が出ました。
それでも左右へ飛んでしまう。
おそらく、何もせず中央に立ったままゴールを決められるより、飛んだ方が「自分はちゃんと動いた」と感じやすいんだと思います。
投資でも、これに近いことが起こります。
「株価が上がっている。乗り遅れるかも」
「現金のままだと損している気がする」
「今日も何もしていないけど、本当にこれでいいのかな」
こういうモヤモヤを消すために株を買うと、少しだけ安心します。
でも、その安心は「良い投資ができた安心」ではなく、単に「行動した安心」かもしれないんだよね。
図解:待てなくなる流れ
株価が動く・SNSで爆益を見る
↓
何かしないと不安になる
↓
予定外の売買をする
↓
一時的に安心する
↓
また値動きが気になってしまう
↓
売買が増える
動いたことで安心する。
その安心が、次の売買を呼ぶ。
このループに入ると、投資というより「不安を消すための売買」になってしまうんだよね。
2.投資には2種類の「待つ」がある
ひとことで「待つ」といっても、実は2種類あります。
| 待つ場面 | どんな状態? |
|---|---|
| 買う前に待つ | 条件に合わない銘柄へ手を出さない |
| 買ったあとに待つ | 小さな値動きだけで方針を変えない |
この2つは似ているけど、少し違います。
買う前に待てないと、現金を早く使い切ってしまいます。
買ったあとに待てないと、せっかく決めた長期投資を短期間でやめてしまいます。
初心者のころって、この両方が本当に難しい。
私も現金が残っていると「何か買っておいた方がいいんじゃない?」という気持ちになることがあります。
でも、あとから振り返ると、余計な買い物って、だいたい「欲しかった銘柄」ではなく「その日に動いていた銘柄」なんだよね。
ここはけっこう大きな違いです。
3.待てないときに起こりやすい3つの失敗
① 現金があると落ち着かない
いわゆる「ポジポジ病」です。
証券口座に現金が残っていると、
「このお金も働かせた方がいいかも」と思ってしまう。
そこで、あまり調べていない銘柄まで買ってしまいます。
ところが、本当に欲しかった銘柄が安くなったころには、もう買えるお金が残っていない。
現金がある
↓
もったいなく感じる
↓
なんとなく買う
↓
本当のチャンスが来る
↓
買える現金がない
現金は、何もしていないお金に見えるかもしれません。
でも実際には「まだ選べる権利」でもあるんだよね。
すぐ使わなくてもよさそうかな、と思えるだけで、かなり焦りにくくなります。
② 小さな値動きで途中下車する
「長く持つつもり」で買ったのに、数%下がっただけで不安になる。
SNSを開けば、
「この銘柄は終わった」
「次はこっちが上がる」
そんな投稿が流れてきます。
それを見ていると、最初に買った理由より、今日の株価の方が大事に見えてくるんだよね。
ただし、ここで気をつけたいこともあります。
「長期投資だから何があっても売らない」
という意味ではありません。
特に個別株は、業績悪化や不祥事、競争力の低下などで、買った前提そのものが崩れることがあります。
| 下落の理由 | 考え方 |
|---|---|
| 相場全体が下がっている | 慌てず、当初の方針を確認する |
| 企業の前提が崩れた | 長期保有を言い訳にしない |
| 理由がよく分からない | すぐ売買せず、まず確認する |
待つことと、放置することは別なんだよね。
ここは混ぜない方がよさそうです。
③ 退屈に負けて刺激を探す
積立投資って、かなり地味です。
毎月決まった日に買って、あとは特にすることがない。
順調であればあるほど暇になります。
すると、SNSで見かけたテーマ株やレバレッジ商品が、やけに魅力的に見えてくる。
「少しくらいなら……」
のつもりが、気づけば本来の積立額より大きくなっていることもあります。
投資が退屈なのは、悪い状態とは限りません。
むしろ、決めた仕組みが普通に動いている証拠かもしれないんだよね。
毎日ドラマが起きるポートフォリオって、見ている分には面白いけど、持っている側はけっこう疲れます。
4.売買を増やせば、利益も増えるとは限らない
「たくさん動けば、その分チャンスも増える」
そう思いたくなるんだけど、現実はそれほど単純ではありません。
BarberとOdeanが米国の個人投資家6万6,465世帯を調べた研究では、頻繁に取引した層ほど、手数料控除後の成績が悪い傾向が確認されました。
もちろん、これは昔の米国データです。
今は売買手数料が安くなっているので、その数字をそのまま現在の日本へ当てはめることはできません。
それでも、
- 根拠の薄い売買が増える
- 利益が出た銘柄を早く手放す
- 上がっている銘柄を慌てて追いかける
- 判断するたびに疲れる
こうした問題は、今でも残っています。
売買回数が多いことと、投資が上手いことは同じじゃないんだよね。
5.「気合いで待つ」はたぶん続かない
待てないなら、もっと我慢しよう。
そう考えがちだけど、毎回気合いで耐えるのはしんどいです。
だから私は、気持ちを鍛えるよりも「衝動で動きにくい形」を先に作った方がいいと思っています。
① 買う条件を先に書いておく
欲しい銘柄が出てきたら、すぐ買うのではなく、まず条件を書きます。
なぜ買いたい?
↓
何年くらい持つ?
↓
どんな状態なら買わない?
↓
いくらまでなら持てる?
↓
買った前提が崩れる条件は?
この質問に答えられないなら、まだ買うタイミングではないのかもしれません。
「上がっているから」しか理由が出てこないときは、私は一度止まるようにしています。
② 24時間だけ置いてみる
衝動買いを完全になくすのは難しいです。
なので、欲しくなったら24時間だけ待ってみる。
これだけでも気持ちはかなり変わります。
翌日も欲しいなら、あらためて調べればいい。
翌日にはどうでもよくなっていたなら、たぶん株が欲しかったのではなく、その日の盛り上がりに参加したかっただけです。
急騰している銘柄ほど、この1日が効くんだよね。
③ 積立部分は自動化する
長期で積み立てる部分は、自分で毎回判断しない方が楽です。
給料が入る
↓
自動で積み立てる
↓
残ったお金で生活する
↓
相場を見ても設定は変えない
もちろん、家計や目的が変わったら見直して大丈夫です。
ただ、株価が上がった下がっただけで毎月設定を変えていると、自動積立の良さが薄れてしまいます。
④ 小さな「冒険枠」を分ける
個別株やテーマ株を触るのが好きなら、全部我慢する必要はないと思います。
私は、楽しむための投資があってもいいと思っているんだよね。
ただし、生活を支える資産とは分けておく。
| 資産の役割 | 使い方 |
|---|---|
| 本隊 | 積立、分散、長期保有を中心にする |
| 冒険枠 | なくなっても生活に響かない範囲で楽しむ |
冒険枠が本隊まで飲み込まないよう、最初に上限を決めておくのがポイントです。
金額でも割合でも構いません。
「もっと買いたい」と思ったときに、上限がストッパーになってくれます。
⑤ 相場を見ない日を作る
毎日チャートを見れば、毎日何かが起きています。
上がっている株もあれば、下がっている株もある。
そうすると、動く理由が簡単に見つかってしまうんだよね。
長期投資が中心なら、確認頻度を落としても困らないことがあります。
通知を切る。
証券アプリをホーム画面から外す。
見る曜日を決める。
かなり地味だけど、こういう方法の方が効くかもしれません。
6.動きたくなったときの5分チェック
注文ボタンを押したくなったら、これだけ確認してみてください。
| 質問 | 自分の答え |
|---|---|
| 今日、買う理由は何? | |
| 昨日までの計画に入っていた? | |
| SNSを見なければ買っていた? | |
| 買ったあと30%下がっても持てる? | |
| 今買わなかったら、本当に困る? |
この最後の質問は、けっこう大事です。
株は、お店に一個しかない限定品ではありません。
今日買えなくても、次の機会が来ることはあります。
もちろん、そのまま上がってしまう場合もあります。
でも、それは仕方ないんだよね。
すべての上昇を取ろうとすると、すべての危ない場面にも参加することになってしまいます。
7.時間は味方になる。でも、持っているだけではダメ
投資では、時間を味方につけることが大切だと言われます。
たしかに、長く運用するほど複利が働く時間も長くなります。短期的な値動きに振り回されず、企業や経済の成長を待てるのも長期投資の強さです。
ただし、何でも長く持てばいいわけではないんだよね。
無理のない入金
+
成長が期待できる資産
+
続けられる運用期間
+
余計な売買を減らす
↓
資産が育つ可能性を残せる
大切なのは「長く持てば必ず増える」ということではありません。
間違った商品や、前提が崩れた個別株を長く持っても、時間が助けてくれるとは限らないからです。
時間を味方にしやすいのは、
- 投資先がきちんと分散されている
- コストが低い
- 生活に無理のない金額で続けている
- 投資の目的が変わっていない
こうした条件があるときです。
時間だけではなく、時間を預ける先も大事なんだよね。
まとめ:待つとは「何もしていない」ことじゃない
投資を始めると、何か行動している人の方が上手に見えます。
新しい銘柄を買った。
底値で拾った。
急騰前に仕込んだ。
そんな投稿を見ていると、自分も動かなきゃいけない気がします。
でも、本当に必要なのは売買回数ではありません。
買う理由がないなら待つ
売る理由がないなら待つ
前提が崩れたなら見直す
この3つを分けられるだけでも、余計な売買はかなり減ると思います。
私自身、何も買わなかった日は「今日はチャンスを逃したかな」と思うことがあります。
でも、現金を残したまま一日を終えるのも、立派な判断なんだよね。
待つ力って、歯を食いしばって耐える力ではありません。
「今日は自分の出番じゃないな」と、静かに画面を閉じられる力です。
相場は毎日開くけど、こちらまで毎日参加しなくていい。
次のチャンスに使えるお金と気持ちを残せたなら、その日は何もしていないんじゃなくて、ちゃんと“待てた日”なんだと思います。
第17回:チェックポイント
- 買いたくなった理由を言葉にする
- SNSを見なければ買っていたか考える
- 衝動的な注文は24時間置いてみる
- 積立部分はできるだけ自動化する
- 冒険枠と本隊を混ぜない
- 長期保有と放置を区別する
- 現金も「次を選べる権利」と考える
🔗 次に読むならこちら
【第18回】一度の成功が危険な理由とは?
(「待つ力」を身につけて利益を出した後に、最も陥りやすい「過信」という落とし穴を解説します)
📚 あわせて読みたい
(「待つ」ために手元に残した現金を、プロはどうやって「攻めの準備」として活用しているのかを解説)
🏠 投資のヒント30選・まとめ
「初心者から一歩抜けるための投資30のヒント」全体像はこちら
サイト案内
最新記事はこちら
→ 最新記事・人気記事はこちらから
私のプロフィールはこちら
→ どんな人が書いているか知りたい方へ
サイトマップはこちら
→ ブログ全体の構造を一覧で確認できます
更新スケジュールはこちら
→このブログの更新頻度、スケジュールをご確認ください
この記事に対して私に対しての質問や疑問、こういうものがあるよ!等の意見がありましたら是非コメントをおまちしております!
ランキングやメッセージをいただけると励みになります。もしよければお願いいたします



コメント