昇給しても入金力が増えない理由|生活水準インフレを防ぐ方法

入金力 投資哲学・メンタルラウンジ

昇給すると、投資に回せるお金も増えると思いがちです。

月の手取りが1万円増えた。
ボーナスが少し増えた。
残業代が増えた。
役職手当がついた。

普通に考えれば、その分だけ入金力も増えるはずです。

でも実際には給料が増えたのに投資額はあまり増えていない、ということがあります。

月末の余力は前とあまり変わらない。
少し良いものを買うようになった。
外食の単価が上がった。
サブスクが増えた。
コンビニで前より迷わず買うようになった。

こういう小さな変化が積み重なると、昇給分はいつの間にか生活の中に溶けていきます。

これは単に「無駄遣いが増えた」という話ではありません。

私が思うに昇給しても入金力が増えない本当の理由は、支出が増えるからというより、自分に許可する金額が少しずつ上がるからなのではないかなと思っています。

昇給で増えるのは収入だけではない

昇給すると、収入が増えます。

でも同時に、自分の中の基準も少し変わります。

以前なら迷っていた買い物を、そこまで迷わなくなる。
少し高い昼食を選んでも、まあ給料も上がったしと思ってしまいます。
疲れた日の外食に対して、前より罪悪感が減る。

この変化はかなり自然です。

頑張って働いて、給料が上がった。
それなら少しくらい生活を良くしたい。

これは別に悪いことではありません。

問題はその変化が自分でも気づかないうちに固定化することです。

昇給前昇給後に起きやすい変化
昼食は700円まで900円でも普通になる
外食は月数回疲れたら外食が増える
サブスクは厳選便利そうなら追加する
服や日用品は迷って買う必要そうならすぐ買う
投資額は固定生活費だけ自然に増える

こうなると、給料は増えているのに、投資に回すお金は増えません。

増えた収入が、先に生活の新しい基準に吸収されてしまうからです。

昇給分がそのまま手取りになるわけではない

もう一つ忘れやすいのが、昇給した金額がそのまま使えるお金になるわけではないことです。

月1万円給料が増えたとしても、その1万円が丸ごと手元に残るわけではありません。

所得税、住民税、社会保険料などがあるので、実際に増える手取りは額面より少なくなります。

つまり、昇給額をそのまま「投資に回せるお金」と考えると、少しズレます。

見えている増加実際に起きること
月1万円昇給手取り増は1万円より少ない
ボーナス増加税金や社会保険料を引かれる
残業代増加疲労回復の支出も増えやすい
役職手当責任やストレスも増えやすい

ここで言いたいのは、税金が悪いという話ではありません。

「昇給したから、その分だけ入金力が増えるはず」と考えると、実際の手取りとのズレが出るということです。

額面では増えている。
でも、税金や社会保険料で少し削られる。
さらに残った分も、生活費や疲労回復費に吸収される。

この二段階で、思ったより入金力は増えにくくなります。

生活水準インフレは「贅沢」ではなく「標準化」で起きる

生活水準インフレというと、高級車を買う、ブランド品を買う、家賃の高い部屋に引っ越す、みたいな派手なイメージがあります。

でも実際には、もっと地味で分かりにくいものなんです。

生活水準インフレは、贅沢をした瞬間ではなく、少し高い選択が普通になった瞬間に起きてきます。

たまに買う高いコーヒーは問題ありません。
でも、それが毎日の標準になると固定費に近くなります。

たまの外食は問題ありません。
でも、疲れた日の外食が当たり前になると、月の支出はじわっと増えます。

少し良い日用品も、単発なら問題ありません。
でも、前の価格帯に戻れなくなると、生活費の基準が上がります。

支出の種類一度なら問題ない標準化すると起きること
カフェ気分転換毎月の小さな固定費になる
外食ご褒美自炊のハードルが上がる
服・日用品必要な買い物選ぶ価格帯が上がる
サブスク便利解約しない固定費になる
旅行・娯楽楽しみ年間予算が膨らむ

生活水準インフレの怖さは、本人が「贅沢している」と感じにくいところです。

少し便利にしただけ。
少し楽にしただけ。
少し良いものを選んだだけ。

この「少し」が積み重なると、昇給分は普通に消えてしまいます。

昇給分は、疲労の精算にも使われる

昇給しても入金力が増えない理由の一つは、昇給そのものが仕事の負荷とセットになっていることが多いからです。

給料が上がる時は同時に負担が増えてる可能性もあります

出世をして責任が増える。
判断することが増える。
後輩ができて指導役になる。
上司と現場の間に挟まれる。

このように負担が増えた場合、人によっては増えた給料は投資に回る前に、疲労の回復に使われてしまうことがあります。

増えた負荷増えやすい支出
残業が増える外食、コンビニ、惣菜
判断疲れ衝動買い、サブスク
ストレス娯楽、飲食、買い物
時間不足時短家電、宅配、タクシー
気分の消耗ご褒美支出

これはかなり現実的だと思います。

私自身も、疲れている時ほど「まあいいか」でお金を使いやすくなりますし、
残業等で帰りが遅いときは総菜やコンビニで済ませてしまいます。
そして土日の自由な時間は前はちょっと高いなと少し躊躇していたことが躊躇することなくできるようになったりしていました。

仕事で消耗した日は投資に回す前に、今日の自分を回復させたくなる。

別に高級なものを買うわけではありません。
コンビニ、外食、ちょっとした買い物。

このくらいの支出でも、積み重なるとそれなりの金額になります。
つまり、昇給分は生活水準だけでなく、疲労回復費にも吸収されます。

だから「昇給したのに入金力が増えない」のは、意志が弱いからだけではありません。

収入が増えた背景に、生活の負荷も増えている場合があるからです。

昇給分が消える流れ

昇給分が消える流れは、単純に「贅沢したから」ではありません。

昇給する

使ってよい金額の感覚が上がる

日常の単価が少し上がる

生活費に吸収される

入金力はあまり増えない

もう一つの流れもあります

昇給する

仕事の負荷も増える

疲労回復の支出が増える

生活費に吸収される

入金力はあまり増えない

使ってよい金額の感覚が上がる。
仕事の負荷が増える。
疲れを回復するための支出が増える。
それがいつの間にか日常になる。

この流れで、入金力は増えにくくなります。

入金力を増やすには、昇給直後が一番大事

入金力を増やしたいなら、昇給してしばらく経ってから考えるより、昇給直後に決めた方がいいです。なぜなら、生活水準は一度上がると戻しにくいからです。

月1万円、税引き後で手取りが増えたとします。その1万円を半年間生活費に混ぜてしまうと、それはもう「余ったお金」ではなく生活の一部になります。

逆に、昇給した瞬間に5,000円だけでも積立額を増やせば、そのお金は最初から生活費に入ってきません。

昇給額(税引き後)生活に回す投資に回すポイント
月5,000円2,000円3,000円小さくても自動化
月10,000円5,000円5,000円半分だけ先取り
月20,000円10,000円10,000円生活改善も投資も両立
月30,000円15,000円15,000円全部我慢しない

全部投資に回す必要はありません。

昇給したのに生活が何も良くならないと、それはそれでつまらないです。

大事なのは、昇給分を全部なんとなく生活費に混ぜないことです。

防ぐ方法は「節約」より「先に分ける」

生活水準インフレを防ぐ方法として、よく節約が語られます。

もちろん節約も大事です。
ただ、昇給後の生活水準インフレに対しては、節約よりも先に分ける方が効きます。

昇給分を一度生活費に入れてしまうと、そこから削るのは面倒です。
最初から投資や貯蓄に回してしまえば、生活費として認識しにくくなります。

私なら、昇給分は3つに分けます。

使い道役割
投資・貯蓄入金力を増やす
生活改善昇給の実感を得る
余白予定外の支出に備える

生活水準を上げてもいい場所を決める

生活水準インフレを防ぐと言うと、生活を良くしてはいけないように聞こえるかもしれません。

私はそうは思っていません。
昇給したなら、生活を少し良くしていいと思います。というかそれをしないと何のために仕事をしているのかわからなくなってしまいます。

問題は、どこもかしこも少しずつ上げてしまうことです。

食費も上がる。
外食も上がる。
サブスクも増える。
服も上がる。
家電も上がる。
旅行も上がる。

これを全部やると、昇給分はすぐ消えます。

だから生活水準を上げる場所を決めておく方がいいです。

上げてもいい支出理由
睡眠に関わるもの仕事と健康に効く
時間を生むもの疲労回復につながる
家族との時間満足度が残りやすい
健康に関わるもの長期的に価値がある
本当に好きな趣味無駄遣い感が残りにくい

逆に、なんとなく増えやすい支出は注意です。

増えやすい支出注意点
コンビニ疲れた時に増えやすい
サブスク一度入ると残りやすい
外食回数が増えると大きい
通販判断疲れの日に増えやすい
少額課金月合計が見えにくい

生活を良くする支出と、疲れで流れている支出は分けて考えた方がいいです。

同じお金を使うにしても、後から納得できる支出と、なんとなく消えた支出では全然違います。

ただ最初から何となく使っていい金額を決めておいてその分だけ使うのなら問題はないのかなと思います。

中級者ほど「投資額は増えたつもり」になりやすい

初心者のうちは、昇給しても投資額が増えていないことに気づきやすいです。

毎月の積立額が3万円のままなら、増えていないとすぐ分かります。

でも中級者になると、少し分かりにくくなります。

スポット買いをする。
個別株を買う。
ETFを買う。
テーマ投信を少し買う。
ボーナス月に多めに入れる。

こうなると、投資している感覚はあります。

ただ、年間で見ると、入金力が思ったほど増えていないことがあります。

見かけ実際に確認すること
たまにスポット買いしている年間入金額は増えているか
個別株を買っている生活費から無理に出していないか
ボーナスで買っている毎月の積立は増えているか
テーマ投資が増えた土台の投資額は増えているか

入金力を見るなら、月単位より年単位がいいです。

去年はいくら入金したのか。
今年はいくら入金できそうなのか。
昇給分はどれくらい投資に回ったのか。

ここを見ると、感覚ではなく数字で分かります。

「結構買っている気がする」と「入金力が増えている」は、似ているようで少し違います。

私なら昇給分はこう扱う

私なら、昇給分を全部投資には回しません。

理由は投資のために生活を固くしすぎると続かないからです。

ただ、全部生活費に混ぜることもしません。
たとえば月1万円手取りが増えたなら、最初に5,000円は積立か現金に回します。
残りは生活に使ってもいい枠にします。

昇給分1万円の使い道金額
投資・貯蓄5,000円
生活改善3,000円
余白2,000円

この形なら、入金力も増えますし、生活も少し良くなります。

「全部投資に回す」だと続かない人もいます。
「全部使う」だと入金力は増えません。

昇給分は最初から分ける。これが一番楽です。

昇給したのに、生活が何も変わらないのは少し寂しいです。
でも、昇給したのに資産形成が何も進まないのももったいないです。

全部我慢しない。でも、全部流さない。

これくらいの距離感が一番続けやすいと思います。

まとめ

昇給しても入金力が増えない理由は、単に無駄遣いが増えるからではありません。

自分に許可する金額が上がる。
税金や社会保険料で、額面ほど手取りが増えない。
仕事の負荷が増えて、疲労回復の支出が増える。
少し高い選択が普通になる。
昇給分が生活費に混ざる。

こうして、収入は増えているのに投資に回るお金は増えにくくなります。

生活水準インフレを防ぐために、全部我慢する必要はありません。

昇給分を先に分ける。
投資に回す分を決める。
生活を良くする場所を選ぶ。
年単位で入金額を見る。

このくらいで十分です。

昇給は、生活を少し良くするチャンスでもあります。

同時に、資産形成を一段進めるチャンスでもあります。

どちらか一方ではなく、最初から両方に分けておく。

それだけで、昇給しても入金力が増えない問題はかなり防ぎやすくなると私は思います。

※本記事は筆者の個人的な考えをまとめたものであり、特定の投資行動や金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。家計管理や投資判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。

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