第16回:売った後に上がる…そのストレスとの付き合い方

初心者向け講座

「売った瞬間、なぜか上がり始めた……」

「もしかして、自分の売買を誰か見てる?」

投資をしていると、ほんとにあるんだよね。

利益確定した翌日に急騰。

損切りした直後に反発。

そしてチャートを見ながら、

「あと1日持っていれば……」「自分の判断、間違ってた?」とモヤモヤする。

でも先に言っておくと、売ったあとに上がる銘柄はどうしても出てくる。

毎回きれいに天井で売り続けるなんて、現実的にはかなり難しい。

だから、売ったあとに上がったという結果だけで、自分の判断を全部ダメにしなくていいんだよね。

今回はこのなんとも言えない悔しさと、どう付き合えばいいのかを話してみましょう。


売ったあとに上がるのは、ある意味ふつう

株を売った時点では、その先の値動きは分からない。

売ったあとに下がることもある。

横ばいになることもある。

そして、普通に上がることもある。

売ったあとの株価
  ├─ 下がる
  ├─ 横ばい
  └─ 上がる

この3つがある以上「売ったあとに上がる」は避けきれないんだよね。

ところが人は、売ったあとに下がった銘柄はあまり覚えていない。

「よし、売っておいてよかった」と思って、それで終わるから。

でも、売ったあとに急騰した銘柄はずっと覚えている。

何か月たってもチャートを見て
「あそこで売らなければ、今ごろプラス30万円だったのに」と計算してしまう。

これが積み重なると
「自分が売ると、いつも上がる」という感覚が生まれてくる。

たぶん、相場が自分を監視しているんじゃない。

悔しかった場面だけを、自分の記憶がしっかり保存しているんだよね。


本当に苦しいのは、利益を逃したことだけじゃない

売ったあとに株価が上がると、もちろんお金の面でも悔しい。

でも、苦しさの正体はそれだけじゃないと思う。

自分なりに調べて、考えて、最後は自分で売却ボタンを押した。

その直後に株価が上がると、

「自分の考えを市場に否定された」みたいに感じるんだよね。

起きたこと感じやすいこと
含み損が増えたお金が減る怖さ
売ったあとに上がった判断を否定された悔しさ
他人が利益を取った自分だけ逃した焦り

特に、時間をかけて分析した銘柄ほどつらい。

損得だけでなく、自分の判断力や投資センスまで悪かったように感じるからね。

株価が上がったことと、売却判断が悪かったことは同じではない。

ここは切り分けたほうがいいと思うな。


相場は、あとから答えが表示されるテストじゃない

テストなら、最初から正解が決まっているけど、相場は違う。

1,000円で売るのも、その人の目的によっては正解。

1,500円まで持つのも正解かもしれない。

半分だけ売って、残りを持つ方法だってある。

つまり、相場にはひとつの正解しかないわけじゃないんだよね。

それなのに人は、未来の株価を見たあとで、過去の判断を採点してしまう。
さらにその結果を他人と比べてしまったりするんだよね。

売った時点
→ 未来は分からなかった

株価が上がったあと
→ 「上がるのは分かったはず」と感じる

結果を知ったあとだと、その結果が最初から予想できたように見えやすい。

これは心理学で「後知恵バイアス」と呼ばれる傾向に近い。結果を知ったあとでは、その出来事が事前より予測しやすかったように感じることが研究されている。

だから
「こんなの上がるに決まってた」「なんで売ったんだろう」と思っても
そのときの自分には今のチャートは見えていなかった。

今の自分は、答えを見ながら過去の自分へダメ出ししている。

それはちょっと不公平だよねってこと。


傘を持って出たのに、雨が降らなかっただけ

雨予報を見て、傘を持って出かけた。

でも、結果的には一日中晴れていた。

この場合「傘を持った判断は完全に間違いだった」と言えるかな?

少し荷物にはなるけど、出かける時点では雨が降る可能性があった。

その情報を見て傘を持ったなら、判断としては変ではないよね?

むしろ降らなくてラッキーだったなぐらいにおもわないかなー?

投資も同じ。

売却した時点で、

  • 目標価格へ届いた
  • 保有割合が大きくなりすぎた
  • 必要な現金を確保したかった
  • 決算前のリスクを減らしたかった
  • 損切りルールへ到達した

こんな理由があったなら、その後の株価だけで失敗扱いしなくてもいいと思う。

未来が見えなかった時点で、何を考えて決めたのか。

評価したいのは、そっちなんだよね。


同じ「売ったあとに上がった」でも、中身は違う

たとえば、1,000円で買った株があるとする。

買う前に「1,200円になったら利益確定する」と決めていた。
実際に1,200円へ上がったので、計画どおり売った。

そのあと株価は1,500円まで上がった。

これは悔しいけど、判断としてはルールどおりだよね。

一方で、同じ1,200円で売ったとしても「SNSで暴落予想を見て、怖くなって急に売った」
なら、少し振り返ってもいいかもしれない。

どちらも売ったあとに1,500円まで上がった。

結果は同じ。

でも、見直すところは違う。

売った理由振り返り方
事前ルールどおり結果に関係なくルールを評価
生活に現金が必要だった目的を達成できたか確認
SNSを見て急に怖くなった判断の根拠を見直す
理由を説明できない次回のルールを作る

株価が上がったから反省するのではなく、売った理由に再現性があったかを見る。

ここが大事なんじゃないかな。


結果より「プロセス」を見る

投資を一回だけやって終わりなら、結果だけ見てもいいかもしれない。

でも、たぶんこれからも何度も売買するよね。

それなら、一度の最大利益より、同じ考え方を何度でも使えることのほうが大切になる。

売却後に確認したいのは、このあたり。

売った理由は決めていた?
        ↓
そのルールを守れた?
        ↓
持ちすぎになっていなかった?
        ↓
売ったあとも生活や気持ちは安定した?

ルールどおり売って、その後に上がった。

これは「結果は惜しかった。でも判断は予定どおり」

ルールを破って持ち続け、たまたま上がった。

これは「結果は良かった。でも次も同じようにうまくいくとは限らない」。

投資って、この2つがよく入れ替わるんだよね。

良い判断が悪い結果になることもある。

雑な判断が、たまたま良い結果になることもある。

だから一回の株価だけで、自分の投資法を全部変えないほうがよさそう。


「売ったあとも持っていた利益」は、自分のお金ではない

これは私が大事にしたい考え方。

売ったあとに株価が上がると「30万円取り逃した」と思ってしまう。

その30万円は、実際に口座へ入っていたお金ではない。

売らずに持ち続けられたかも分からない。

途中の下落で怖くなって、別の場所で売っていたかもしれない。

だから、売却後の最高値まで全部取れた前提で計算すると、後悔だけが大きくなってしまう。

実際に受け取った利益
→ 自分の利益

売却後の最高値との差
→ 取れたかもしれない利益

「取れたかもしれない利益」は、相場の中に無限にある。

全部数え始めたら、どんな売却も失敗に見えてしまうんだよね。


一部だけ売る方法もある

売ったあとに上がるのが怖いなら、全部を一度に売らなくてもいい。

たとえば100株持っているなら、

50株を利益確定
      ↓
残り50株は保有を続ける

これなら、下がったときには一部を売っておいてよかったと思える。

上がったときには、残した分で上昇へ参加できる。

もちろん、利益を最大化する方法ではない。

でも、後悔を小さくする方法にはなりやすい。

私は、天井を当てるよりも、どちらへ動いても自分を責めすぎない形を作るほうが現実的だと思っている。


早売りの後悔が、次の損切りを壊す

売ったあとに上がると「次はもっと持とう」と思う。

それ自体は自然。

この気持ちが強くなるとちょっと危ないかもしれない。

前回、早く売って後悔
        ↓
次は絶対に売らない
        ↓
下がっても損切りできない
        ↓
想定以上の損失になる

前回は利益確定が早かっただけなのに、次回は損切りまで遅らせてしまう。

別の取引なのに、前回の悔しさを持ち込んでしまうんだよね。

投資家には、利益が出ている銘柄を早く売り、損失が出ている銘柄を長く持ちやすい「ディスポジション効果」と呼ばれる傾向が研究されている。

ただ、名前を覚えることより、前の後悔で、次のルールを変えていないかを確認するほうが大事かな。


私が怖いのは、損失より「後悔でルールが変わること」

個人的には、売ったあとに上がること自体より、その悔しさで次の行動が変わるほうが怖い。

前回早く売った。だから今回は利益確定しない。

前回損切り後に反発した。だから今回は損切りしない。

こうやって、ひとつ前の取引へ仕返しするような売買になっていく。

でも市場は、前回の取引なんて覚えていない。

次の銘柄が、前回の悔しさを返してくれるわけでもない。

だから私は、利益の最大化よりも、次の判断を壊さない売り方を選びたい。

完璧に売るのではなく、売ったあとも普通に次へ進める形。

そのほうが長く続けやすいと思うんだよね。


売ったあとにやらないほうがいいこと

何度もチャートを見直す

売却後に上がっているチャートを何度も見ても、利益は戻ってこない。

後悔が育つだけになりやすい。

最高値との差を計算する

「あそこで売らなければ、あと42万3,000円あった」

ここまで細かく計算すると、かなり引きずる。

すぐ買い戻す

上昇を見て慌てて買い戻すと、今度は高値づかみが怖くなる。

売った理由が消えたのか、それとも上昇を見て焦っているだけなのか、一度考えたい。

次の取引で取り返そうとする

投資額を急に増やす。

レバレッジを使う。

よく分からない銘柄へ飛びつく。

これがいちばん危ないかもしれないね。


売却後の簡単な振り返り

売ったあとに上がったら、長い反省会をしなくてもいい。

この4つだけ残しておけば十分。

確認すること書く内容
売った理由目標価格、損切り、現金化など
判断した情報決算、チャート、資金計画など
ルール守れたか、途中で変えたか
次回の修正本当に必要なものを1つだけ

ポイントは、株価が上がったという理由だけでルールを変えないこと。

10回、20回と記録してから、

「いつも早く売りすぎている」

と分かったなら、そこで調整すればいい。

1回の悔しさで全部作り直さなくてもいいんだよね。


第16回チェックポイント

  • 売ったあとに上がる銘柄はどうしても出てくる
  • 売却後の最高値まで取れた前提で考えない
  • 結果を知ったあとで、過去の自分を責めすぎない
  • 株価ではなく、売った理由とルールを振り返る
  • 全部売るのが怖ければ、一部売却も考える
  • 前回の後悔を、次の取引へ持ち込まない

まとめ——手放した株の続きを、全部見なくてもいい

売ったあとに株価が上がる。

これはなくならない。

利益確定した翌日に急騰することもあるし、損切りの直後に反発することもある。

悔しいものは悔しい。「全然気にしない」なんて、たぶん無理なんだよね。

だから、一度くらいは、「うわ、もったいなかったなー」と思っていい。

でも、そのあとに確認したいのは株価ではなく、

「自分は、なぜ売ったんだっけ?」というところ。

事前に決めたルールで売った。

生活に必要なお金を確保した。

持ちすぎたリスクを減らした。

そんな理由があるなら、その売却にはちゃんと役割があった。

相場で毎回いちばん高いところを取る必要はない。

というより、そんな売り方を狙い続けたら、たぶんいつまでも売れない。

私は、利益の最大化よりも、売ったあとに次の判断を壊さないことを大事にしたい。

手放した株が、そのあとどこまで上がったか。

その物語を最後まで見届けなくてもいいんだよね。

自分の取引は、売却ボタンを押したところでいったん完結。

続きを見に行くかどうかは、自分で決めてよさそうかなー。

次に読むなら

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「初心者から一歩抜けるための投資30のヒント」全体はこちら。


※本記事は特定銘柄の購入推奨ではありません。紹介したデータや戦略は一つの強力な指標として参考にし、投資判断はご自身のリスク許容度に応じて行ってください。

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